感情的になったり、頭の固い反応をすると落とされる

私は法務部門や広報IR部門といった、株式上場企業の管理部門を中心にキャリアを積み重ねてきました。何度か転職を重ねてきましたが、すべての面接に成功してきたわけではなく、失敗と思える面接もありました。まだ20代後半のとき、株式上場企業のIR部門へ転職したいと考え、応募しました。書類選考を通過して1次面接に挑みました。

面接官は人事部長とIR部長だったのですが、先方から「IRという仕事について、どのように捉えているか?」という質問を投げかけられたとき、私は「IRとは、投資家と企業のコミュニケーションを円滑にするために欠かせない仕事で、財務情報や事業戦略をできるだけ速やかに開示して、お互いの信頼関係を構築する仕事」と回答しました。IR関係の本に書いてあるような内容を、そのまま回答したのでした。つまり、「教科書的な回答」をしてしまいました。このとき、先方のIR部長が、がっかりしたような表情をしたのが、よくわかりました。

実際の仕事は、教科書的な認識ではダメなのです。ですから面接で、教科書的な回答をするようでは、この応募者は戦力にならないと判断されてしまうと思います。案の定、私は1次面接で落とされてしまいました。
また、30代前半のとき、2回目の転職を目指しました。このときは、IR部門に加えて法務部門も経験していましたので、ステップアップを目指していました。株式上場企業に応募して1次面接に挑んだのですが、先方の面接手法が「圧迫面接」でした。私は人事部門の経験はありませんので、圧迫面接という手法について知りませんでした。応募者のストレス耐性を探るために、わざと応募者にストレスを与えるような威圧的な質問や指摘をして、応募者がどのような反応を見せるのかを見極める面接手法があるということは、あとから知りました。

その面接では、相手は管理本部長と人事部の課長が面接官でした。最初から管理本部長は威圧的でした。かなり、ふんぞりかえった態度をとって、私の履歴書を手にとって、私の経歴や職務経歴について質問をしてきましたが、ネチネチした嫌らしい質問であったり、威圧的で回答に困る質問でした。「君のようなキャリアの持ち主は、世間にたくさんいる」とか、「本当に当社の業務内容をわかって応募したのか」とか、「あなたはどういう理由で当社を応募してきたのか。どうして当社じゃなきゃいけなかったのか。他の会社ではダメだったのか」といった質問でした。

私は、この会社はブラック企業ではないかと思いました。そして、ついつい声を荒げてしまいました。「このような無礼な態度で、無礼な質問をしてくる会社は、こちらから辞退させてもらいます」と言ってしまったのです。もちろん、これでこの応募は失敗に終わりました。あとから振り返ると、本当にブラック企業だったのかもしれませんが、面接の場ではもっと冷静な大人の対応をすべきでした。その場で感情的になってしまうということは、まだまだ私は未熟だったのです。

最後に、私は30代後半になって、3回目の転職を目指しました。このときは、管理部門の法務部門での課長ポストを狙って転職活動をしていました。ある株式上場企業で最終面接まで進みました。最終面接ですから、面接官は社長です。その社長は、創業者オーナーの社長として、ある程度名前の知られた経営者でした。社長ですから履歴書を見ても、細かい質問はしてきません。じーっと、私の顔を見ていまして、最初の質問が「あなたは遊びは好きですか?」という質問でした。私は、思わず吹き出してしまい、社長を軽んじる目で見てしまいました。そして「ええ、まあ好きですが」と回答してしまったのです。これで、社長の表情がこわばってしまい、それから10分程度やりとりがありましたが、もはやこの面接には興味がないという社長の態度でした。

いま振り返ると、社長は最初に奇抜な質問をして、管理職候補の私と社長の相性を見たのだと思います。そこで私が当意即妙な反応をすれば良かったのですが、頭の固そうな反応をしてしまったので相性が悪いと判断されてしまったのでしょう。この会社は落ちてしまいました。
私は何度か転職をし、何度も面接をしましたが、面接では当意即妙な反応や回答をすることが大切なのだと思いました。