広報IRの面接で、社外人脈をアピールし採用

株式上場企業の広報IR部門の課長職に応募して、みごとに採用されたときの面接の経験です。広報IR部門の仕事は、広報とIRという2種類の仕事があります。

広報というのは、テレビ局や新聞社、雑誌などの媒体から取材を受けて、できるだけ目立つ形で報道してもらうことによって自社や自社製品をPRする仕事です。そして、IRという仕事は、インベスターリレーション(投資家向け広報)です。既存の株主や、個人投資家、証券会社のアナリスト、ファンドマネージャー、格付会社のアナリストたちに自分の会社の経営戦略や個別の事業戦略、財務戦略を広報し、理解をしていただき、自社の株式を買う方向へ促すという仕事です。両方とも簡単な仕事ではありません。

この会社の面接は、1次面接と最終面接があり、1次面接の面接官が、のちに上司となる広報IR部長と管理本部担当の取締役で、最終面接は社長が面接官でした。このときの自分の戦略は、1次面接で実務面でのアピールを積極的におこない、最終面接ではできるだけ快活に振舞い社長との相性が良いかどうかに勝負をかけようというものでした。 1次面接では、これまでの私の経歴とそこから培った経験や知識を問われました。このとき私は、3回目の転職活動で、大学を卒業して以来、一貫して広報IR部門で仕事をしてきたことをアピールしました。そして、具体的には「自分は広告代理店の局長クラスや、新聞社のデスクと直接面識があり、電話で常に情報交換できる関係を持っている」とアピールしました。そこでは、自分の広報人脈の具体的な会社名やポジション、氏名をお伝えしました。すると、面接官の広報IR部長や管理本部担当の取締役は「よしよし」という感じで深く頷いていました。私は、これは好感触だと思いました。広報の仕事は人脈がなければ仕事になりません。

また、1次面接では、仕事上の困難な局面をさばいたことはあるのかという質問を受けました。私は以前に務めていた小売企業でも広報IR部門にいましたが、ある首都圏内にある店舗が火災を起こしてしまいました。幸いにも、被害者は一人も出なかったのですが、ある程度知名度の高い会社でしたので、複数のマスコミの方が現場に取材に来ていました。私は、現場で状況を確認し、被害者が一人も出ていないことを確認し、その他の被害状況も確認した上で、すぐさまお詫びと再発防止策をまとめたプレスリリースを開示しました。そして、それを新聞社のデスクやテレビ局の報道局にも送付したうえで、1社ずつ直接電話で説明をしました。いわゆる「火消し」作業をしたのです。この火消しの結果、テレビでは火災は報道されず、新聞も地方紙が1社だけ簡略に記事を載せていただけでした。そこそこ火消しは成功したのです。 この経験をお話ししたときも、面接官の広報IR部長と取締役は、満足げに頷いていらっしゃいました。私は、これは良い反応だと思いました。

私は、人脈と危機対応についてアピールできたと感じました。数日後、最終面接の案内をいただきました。 最終面接の面接官は、社長でした。隣に、1次面接のときの管理本部担当の取締役が陪席していましたが、最終面接では社長と私の1問1答でした。社長は、株価の動向に関心を持っていました。IRの業務について、どのような方法で仕事を進めるつもりかと質問されました。

私は、「現在の東京証券取引所では、投資家の6割が海外の機関投資家ですので、外資系証券のアナリストやファンドマネージャーへのIR活動が有効です。自分は、外資系証券のアナリスト、ファンドマネージャーと多くの面識を持っています。個別に社長とのミーティングを設定することが可能ですので、その場で、社長から直接、事業戦略や配当の考え方について説明されれば投資家も将来性について納得すると思います。」と回答しました。そして、私の知っている証券会社のアナリストたちの氏名を数名挙げました。社長は、表情を変えずに、聞いていましたが、私への主要な質問はこれだけでした。そして私は、この会社に広報IR課長として採用されたのでした。 やはり、その業務にプラスとなるような具体的なメリットを提示することが、採用への近道だと思いました。